スポーツ中の怪我や事故によって引き起こされる靭帯断裂・損傷は、日常生活や競技に大きな影響を与える怪我のひとつです。
靭帯の再建手術においては、自家腱移植が主流とされてきましたが、近年では「人工靭帯」を用いた治療法も注目されています。
今回の記事では、人工靭帯の概要からメリット・デメリットを解説し、関連製品も紹介します。
損傷・断裂した靭帯の機能を補うために使用される人工素材でできた医療機器が「人工靭帯」です。靭帯の再建手術において、自家腱(患者自身の腱)の代替または補綴材として使用されます。スポーツによる前十字靭帯断裂や膝・肩関節の靭帯損傷など、幅広い症例に対応できる治療手段として、整形外科分野で活用されています。
自家腱移植と比較して採取部位への負担がない点や、手術時間の短縮が期待できる点から、患者への身体的負担を軽減する選択肢として医療現場で見直されています。
人工靭帯に使用される素材は、生体適合性・耐久性・柔軟性が求められるため、医療用途に適したものが採用されています。
ポリエステル(PET)
人工靭帯に使用されている一般的な素材です。高い引張強度と耐久性があり、生体適合性にも優れています。メッシュ状や編み込み構造に加工されることで、靭帯としての機能を再現しやすく、長期にわたる使用に適しています。
ポリプロピレン(PP)
軽量で耐腐食性に優れた素材です。組織との親和性が高く、術後の癒着や炎症リスクを抑えやすい特性があります。

人工靭帯を用いるメリット・デメリットとして以下のことが挙げられます。
身体への負担を軽減
自家腱移植では、患者自身の腱を採取する必要があるため、採取部位に痛みや機能低下が生じるリスクがあります。人工靭帯を使用することで腱の採取が最小限となり、採取部位への身体的負担を軽減できます。
また、採取部位の回復に要する時間も省けるため、術後の全体的な回復にも好影響を与えるケースがあり、特に高齢者や体力的な負担が気になる患者にとって大きなメリットといえます。
早期リハビリ・競技復帰が期待できる
人工靭帯は術直後から一定の強度があるため、自家腱移植と比べてリハビリの開始時期を早められることが多いです。スポーツ選手など、早期の競技復帰を目指す患者にとって有効な選択肢となり得ます。
リハビリを早期に開始できることで関節周囲の筋力低下を防ぎやすく、機能回復のスピードアップにも寄与する場合があります。
長期的な経過観察が必要になる
人工素材を体内に留置するという性質上、術後の長期的な経過観察が求められます。素材の摩耗や劣化による再断裂のリスクはゼロではなく、定期的な画像診断や診察を通じて患者の状態を継続的にモニタリングすることが重要です。
異物反応・炎症リスクへの対応が求められる
人工素材の体内留置により、まれに異物反応や慢性的な炎症が生じる可能性があります。術前に患者の既往歴やアレルギー情報を十分に確認したうえで適応を判断するとともに、術後に腫脹や疼痛が持続する場合には早期に対応できる体制を整えておくことが求められます。
適応症の選定が重要
すべての症例に適応できるわけではなく、患者の年齢や損傷の程度などによって適否が異なり、適切な選択を行うことが求められます。インフォームドコンセントの場では自家腱移植との比較も含めた丁寧な説明を行い、患者が十分に理解したうえで治療方針を選択できる環境を整えることが重要です。

人工靭帯をお探しの場合におすすめしたいのが、当社、ユフ精器株式会社が取り扱う「Leeds-Keio補強用メッシュⅡ」です。
人工靭帯周囲に自家組織を誘導し、靭帯としての機能を再建・維持するタイプの人工靭帯で、整形外科分野における靭帯再建手術において幅広く活用されています。
素材はポリエステル100%で、生体適合性と耐久性に優れています。形状は「筒状」「シート状」「タイトシート状」の3種類を展開しており、手術部位や術式に応じて適切なタイプを選択できます。
平織り構造を採用しているため、張力はすべて縦糸が受ける設計となっており、靭帯としての機能を再現しています。また、放射線による滅菌処理が施されており、安全性の面でも安心してご使用いただけます。
幅広い症例に対応できる点も大きな特徴です。
主な適応症例は以下のとおりです。
・膝前十字靭帯損傷(ACL)
・後十字靭帯損傷(PCL)・内側側副靭帯損傷(MCL)
・外側側副靭帯損傷(LCL)
・大腿四頭筋・膝蓋腱断裂
・アキレス腱断裂
・内側膝蓋大腿靭帯損傷(MPFL)
・肩関節靱帯損傷
手術部位や症例に合わせて選べる豊富なサイズがございます。シート状タイプはLK2-5(5×600mm)からLK2-40(40×500mm)まで幅広いサイズを展開しており、筒状タイプやタイトシート状タイプも取りそろえています。
術式や患者の状態に応じた最適なサイズを選択できるため、さまざまな手術ニーズに対応可能です。
「Leeds-Keio補強用メッシュⅡ」にご興味がございましたら、ぜひご相談ください。
人工靭帯は、靭帯損傷・断裂の治療において自家腱移植に代わる選択肢として注目されており、採取部位への負担軽減や早期リハビリの実現など、患者にとって多くのメリットをもたらす治療手段です。
導入を検討している医療機関の方や、関連製品をお探しの方は、本記事でご紹介した「Leeds-Keio補強用メッシュⅡ」の詳細をぜひご覧ください。
また、ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
【参考文献】
・Leeds-Keio手術手技書(膝蓋腱・大腿四頭筋)
・膝伸展機能損傷 膝蓋靭帯損傷(冨士川先生)
・膝蓋腱断裂に対する再建術(松本先生)
・陳旧性アキレス腱断裂(宇佐見先生)
・内側膝蓋大腿靭帯損傷に対する再建術(野村先生)