脳神経外科や脊椎外科などの高度な手術において、安全性と精度を支える重要な医療機器の一つ「頭部三点固定器」。20世紀後半、米国のメイフィールド博士によって三点固定という画期的な概念が確立され、以降、世界的に標準的な頭部固定器として普及してきました。
日本においても、杉田虔一郎先生による四点固定フレームの開発をはじめ、臨床現場の要請に応えるかたちで独自の改良や発展を遂げてきました。
今回の記事では、そうした歴史的背景を踏まえながら、頭部三点固定器の詳細や選定時のポイント、おすすめ製品を紹介します。頭部三点固定器について知りたい方、関連製品に関する情報を集めている方はぜひ参考にしてください。
開頭術や脊椎手術などにおいて、頭蓋骨を複数のスカルピンで固定し、手術中の頭部の動きを防ぐための医療機器です。
手術中に頭部がわずかでも動くと、神経や血管を扱う操作に重大な影響を及ぼす可能性があり、頭部を確実に固定し、術者が意図した位置と角度を長時間維持する必要があることから用いられます。
頭部三点固定器が求められるようになった背景には、開頭術の高精度化があります。1967年米国の脳神経外科医フランク・H・メイフィールド博士らによって開発された馬蹄型ヘッドレストは位置決めが容易な一方、顕微鏡手術での微細な操作には十分とは言えませんでした。そうした課題を解決するため、頭蓋骨そのものを固定する三点支持方式が考案されました。1973年に現在の頭部三点固定器の原型が完成し、頭蓋骨に3本のスカルピンをねじ込む構造により、高い保持力と安定性を実現。開頭術だけでなく、頚椎手術にも使用され、世界的に普及していきました。
本邦においては、頭部三点固定器の導入と並行して独自の改良が進められました。その代表例が、脳神経外科医・杉田虔一郎先生によって開発された「杉田式四点固定フレーム」です。頭蓋骨を四点で支持する構造とすることで荷重を分散し、安定した頭位固定を可能にした点が特徴で、日本の脳神経外科手術の発展に大きく貢献しました。
頭部三点固定器は、手術台に固定されるベースユニット、角度を微調整できる回転機構、頭蓋骨を直接支持するスカルピン付き固定フレームで構成されています。術式や体位に応じて柔軟に頭位を設定できます。
近年の製品では、使用材料や製造工程の改良や画像誘導システムとの連携などが進み、安全性と操作性の両面で大きな進化を遂げています。さらに、CT・MRI・ナビゲーション手術への対応を前提とした設計も一般化しつつあり、現代の高精度な脳神経外科・脊椎外科手術を支える重要な基盤として、現在も継続的な改良と発展が続いています。

医療機関において頭部三点固定器を選ぶ際には、まず手術の種類や目的に適した製品選びが重要です。開頭術や頚椎手術など、高い安定性が求められる手技では、スカルピンの固定力やフレーム剛性が安全性に直結します。
また、頭位調整の自由度も重要なポイントで、角度や高さを細かく調整できる構造であれば、術野の確保や術者の操作性向上につながります。
加えて、取り付けや設置のしやすさも見逃せません。手術台への装着や固定フレームの組み立てが直感的に行える設計であれば、準備時間の短縮やスタッフの負担軽減に寄与します。さらに、手術台やナビゲーションシステムとの互換性・拡張性、清掃のしやすさといった運用面も、長期的な使用を考えるうえで重要になります。
導入後のトラブルを避けるためにも、専門業者に相談し、アドバイスを受けながら総合的な視点で製品を選定することが求められます。

最後に、弊社「ユフ精器株式会社」で扱っているおすすめ製品を紹介します。
その製品は、頭部三点固定器の分野で世界的に高い評価を得ている「DORO® ヘッドレストシステム」です。開頭術や脊椎・頚椎手術を中心に、長年にわたり脳神経外科領域で使用されてきた実績ある製品で、安定性と操作性のバランスに優れています。
標準的な頭部三点固定器をはじめ、用途や手術環境に応じた多様な製品バリエーションがあり、CT・MRI・血管撮影装置下での使用を想定したタイプや、術中MRIに対応した非磁性設計のモデルも展開されており、ナビゲーション手術や高度な画像誘導手術にも対応可能です。小児脳神経外科用の侵襲を抑えたい症例向けのピン固定を行わないジェルパッドを用いたヘッドレストなどもあり、患者状態や術式に応じた柔軟な選択ができます。
周辺アクセサリーも豊富で、中でも「LUNA®リトラクターシステム」は術者一人で簡単に組み立てが行え、任意のポジションに設置できる脳ベラ固定器として人気の商品です。
ユフ精器株式会社は大正10年(1921年)創業の医療機器専門商社です。長い歴史の中で培ってきた知見とネットワークを強みに、心臓・血管カテーテルをはじめ、脳外科・整形外科・外科分野の手術器具、X線防護用品など、多岐にわたる医療機器の輸入・製造・販売を手がけています。
国内外の有力メーカーと連携し、最新技術や高品質な製品を医療現場へ届けることで、診療の質と安全性の向上を支え続けています。
頭部三点固定器は、脳神経外科や脊椎外科をはじめとする高精度な手術において、頭部を安定的に保持するために欠かせない医療機器です。長年にわたり手術環境の安全性と精度向上を支えてきました。
現在では、用途や術式に応じた多様な製品が展開され、ナビゲーション手術や画像誘導手術との親和性も高まっています。選定にあたっては、手術内容や使用環境を踏まえた適切な製品選びが重要であり、頭部三点固定器の特性を理解することが、安全で質の高い医療の提供につながります。
頭部三点固定器に関するお悩みやご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。